ポリテックのレーザ振動計は、ヘテロダイン干渉計を使用しています。この干渉計のアームに音響光学変調器が取り付けられています。この変調器が、RF帯域に周波数変調搬送波信号を発生させます。この帯域の中心周波数は、音響光学変調器駆動信号の周波数と同一です。これにより、方向感度の高いドップラ信号情報が、RF搬送波に取り込まれます。正負の符号付きの物体速度によって、中央周波数に関する符号および周波数偏差が決まります。
ドップラ周波数は、表面速度に比例し、基準信号の位相 j0に関する位相変化 Djは物体の変位に比例します。

レーザドップラ振動計用途において、信号は連続しますが、外乱、物体の低散乱特性およびスペックル効果による低信号振幅が信号対ノイズ比に影響を及ぼすことになります。波長l = 0.6328 µmのHe-Neレーザの場合、ドップラ周波数はm/s あたり3.1606 MHzです。したがって高速になると、高ドップラ周波数が発生し、信号復調プロセスに複雑さを加えることになります。
速度のデコーディング
速度のデコーディングに対して、RF検出器信号と可変局部発振器周波数とが復調前に混合されます。速度復調器の出力信号V(t)は、線形特性を経由して入力周波数f(t)と関連付けられます。
RF搬送波の周波数変調Dfは物体の速度vに比例します。すなわち
Df = 2 v / l ここで lはレーザ光線の波長
必要な変調帯域幅は、2 ( Df + fvib)と推定されます。ここでfvibは物体の振動周波数です。
必要な用途のレンジをカバーするために、異なった復調手法、すなわちPLL(位相ロックループ)および同時復調手法を使います。
PLLにおいては、電圧制御発振器(VCO)がドップラ信号を追跡します。このVCOは、フィードバックループを通じて制御されます。このフィードバックループ内の位相検出器が位相偏差を検出し、これが増幅されフィルタ処理されて発振器の制御に使用されます。ループの帯域幅および振幅を変えて、種々の振幅および信号ノイズ比のドップラ信号に対する最適な応答を得るために高知能型回路が使われています。ポリテック社のモジュール式OFV-5000振動計コントローラのモデルOVD-01デコーダがこの原理に従って作動します。このデコーダは、線形性に優れ、ノイズの帯域幅の定義精度が高いという利点をもっています。
同時復調器は、レーザ振動計の用途のほとんどをカバーしています。この復調器により、ドップラ信号を高い分解能および周波数応答性(> 1MHz)で復調することが可能です。その全帯域幅で、最高± 10m/sの速度および最高107gの加速度が測定できます。振動計の最高性能を引き出すために、デコーディング手法を二つ組み合わせて使用することがよくあります。
現在ポリテック社のレーザドップラ振動計で使用できる新しい技術が、デジタル復調です。この技術は、直角位相局部発振器信号を使った搬送波のダウンミキシングに基づいています。その目的は、正確なデジタルデコーディングについて理想的な一定の振幅のサインおよびコサイン信号を求めることにあります。これは他の直接光学的直角位相生成手法よりも優れています。というのは高周波数搬送波の方が一定振幅に増幅しやすく、また直角位相状態が処理用電子機器内で正確に生成できるからです。このデコーダは、ISO 16063-11規格による追跡可能な校正についてドイツ国立標準化研究所(PTB)で認定されています。

変位のデコーディング
変位測定の古典的手法は、フリンジカウント手法です。この手法はポリテック社の振動計でも利用できます。変位は、検出器において位相変化を測定することにより電子データとして求まります。というのは物体の表面運動によりビームの全光路長さが変化するからです。レーザ波長の半分の変位(He-Neレーザの場合l/2 =316 nm)で位相が360度変わります。振動計は、「ゼロ交差」または「フリンジ」をカウントすることにより、1サイクルあたりl/2の増分で、物体が動いた距離を測定します。デジタル情報は、D/A変換器で電圧に変換され、表面変位に比例した時間分解出力(単位µm/Vで校正)が発生します。この手法はモデルVD-100変位デコーダに組み込まれています。
モデルDD-200変位デコーダでは、追加の位相乗算回路を使うことによって分解能がl/160(分解能2 nm)まで高くなっています。これは位相信号の内挿に対応します。これに関連する原理上、位相の倍数が大きければ大きいほど、測定可能な物体の速度および振動周波数が低くなります。
高周波数低変位デコーディングの場合、半分のフリンジ期間で位相の変動を解析する位相変位デコーダ(DD-300)が必要になります。このようなデコーダは、最高30 MHzの周波数で± 75nmの振幅を検出することができます。元の測定信号から派生した内部基準信号で、環境騒音または機械振動に起因する相対的に速度の低い位相変動を除去し、超音波信号が測定されます。
回転・面内振動計の信号デコーディング
回転・面内振動計は、標準面外振動計と同じ物理学的原理を元にしています。したがって信号デコーディングスキームはレーザドップラ振動計のタイプすべてについて類似しています。しかし、回転物体の連続運動または面内振動に重ね合わせたDC線形運動により、静的なまたはゆっくりと変化するドップラ周波数が生じ、その周波数が動的部分に重ね合わされます。
静的なまたは低周波数の部分の補償を行うために、追加の復調回路が使用され、RF搬送波の生成が可能になります。この搬送波は上記の方法でデコードできます。
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